高等学校でのプログラミング教育に関するアンケート(中間報告)

アシアル情報教育研究所では、高等学校の先生方を対象にプログラミング教育と「情報Ⅰ」に関するアンケート調査を実施いたしました。

第1回のアンケートは2020年10月8日より10月16日の期間に実施し、179名の皆様にご協力いただきました。

たくさんの皆様のご協力ありがとうございました。

第1回のアンケート結果の一部を中間報告としてまとめましたのでご覧ください。

なお、第2回アンケート(同じ調査票)は11月20日まで受け付けておりますので、是非ご協力をよろしくお願いします。

アンケートへの回答は以下のURLからお願いします。

https://forms.gle/piM5rj1w3GhQEZPK7

第1回アンケート結果からの考察

回答者の64.2%が普通高校に所属し、また86.6%が情報科の担当(専任、兼務合計)されていました。

回答者が情報科で採用している科目の32.4%が「情報の科学」、また今年度プログラミングの授業を実施率が71.5%といずれもかなり高いため、比較的プログラミング教育に長けた回答者が多かったと考えられます。

現在教えているプログラミング言語(およびマークアップ言語)のトップはHTML(46.5)、次いでJavaScript(29.6%)、Scratch(27%)が続きました。言語の選定理由としては、教科書に載っていることや環境構築の容易さ、汎用性の高さなどがあげられました。

また、今後、生徒に教えたいプログラミング言語としてはトップはJavaScript(56.4%)、次いでPython(52.1%)となっています。選定理由は、JavaScriptについてはゲームや作品の作らせやすさや環境構築の容易性をあげる回答者が多く、Pythonについては文科省教員用研修教材の影響やAIやディープラーニングの学習に繋げられるという理由が多くあげられました。

最後に「情報Ⅰ」や「プログラミング教育」の実施に向けた課題やもとめる情報について訪ねたところ、課題としては「自身のプログラミングスキル不足や指導力」といったスキルに関すること、「教材研究の時間確保」「各社の教科書をまだ見ることができない」といった、限られた時間と情報の中で教材選定を行い授業計画をたてていくことへの不安の声が多くよせられました。

またこれらの課題を受けてもとめる情報としては「入門者向けのプログラミング研修会」といったスキルアップの機会や「プログラミングの授業の実践例や指導案」や「他校でのプログラミングの評価方法」など先行して実践されている他校の情報を知りたいという要望が強いことが改めて分かりました。

アシアル情報教育研究所では、先生方が「情報Ⅰ」に向けた不安や課題を解消するための情報や研修会の提供を行って参りますので、ご相談やご要望などございましたらお気軽にご連絡ください。

集計結果(一部抜粋)

回答者数:179名

回答者の所属校の学科

  • 普通科:115名(64.2%)
  • 専門科:47名(26.3%)
  • 総合学科:10名(5.6%)
  • その他:7名(3.9%)

情報科を担当している回答数

  • 情報科の専任:71名(43.3%)
  • 情報科と他教科の兼任:71名(43.3%)

情報科で採用されている科目(複数選択)

  • 社会と情報:106名(61.3%)
  • 情報の科学:56名(32.4%)
  • 代替科目:22名(12.7%)
  • その他(学校特設科目など):27名(16.6%)

本年度のプログラミング教育の実施状況

  • 実施している:71.5%
  • 実施していない:26.3%
  • 分からない:2.2%

プログラミングの授業にあてている時間数(コマ数)

  • 1~4時間:44名(22.6%)
  • 5~8時間:37名(20.7%)
  • 9~12時間:26名(14.6%)
  • 13~16時間:7名(3.9%)
  • 17時間以上:20名(11.2%)
  • 教えていない:45名(25.1%)

現在教えているプログラミング言語(複数選択)とその選択理由

  1. HTML:74名(64.5%)
    • 生徒が身近に接しているWebページを構成している言語だから
    • 汎用性が高いから
    • 指導側が扱える言語だから
    • 教科書に載っているから
    • 理解がしやすい
  2. JavaScript:47名(29.6%)
    • プログラミング環境構築が容易だから
    • ブラウザ上で実行できる
    • 教科書に載っている
    • 汎用性が高いから
    • すぐに実行結果が画面上で確認出来る
    • 動きのあるコンテンツ作成が可能なため
    • HTML、CSSと組み合わせれば実際に世の中のWebサイトが作れることをイメージさせやすい
    • 教材や情報が豊富にあるから
    • 理解がしやすい
  3. Scratch:43名(27%)
    • 教員側の準備がほとんどいらないほど簡単である
    • Chromebook上で環境構築が容易だったから
    • 生徒が取り組みやすい
    • 理解がしやすいから

今後、生徒に教えたいプログラミング言語(複数選択)とその選択理由

  1. JavaScript:93%(56.4%)
    • 実行結果が目に見えるから
    • HTMLだけではできない動的なWebサイトが作れるから
    • 実用的な言語だから
    • 環境構築が必要ないから
    • 生徒に興味を持たせるためにゲームを作らせたいから
    • 最終的に一つの形となる作品(Webページ)を作らせると生徒の満足度が高い
    • 実際に動くものを作らせやすい
    • 広く使われているから
  2. Python:86名(52.1%)
    • データ分析に使いたいため
    • 文科省の教員向け研修テキストがPythonだったから
    • ディープラーニング等も指導できるから
    • 実用的な言語だから
    • AIで注目されている言語だから
    • 汎用性が高いから
  3. HTML:55名(33%)
    • エディタとブラウザだけでできるから
  4. VBA:43名(26.1%)
    • 検定試験対策のため
    • EXCELと一緒に教えられるから
    • 自身がよく理解している言語だから

「情報Ⅰ」や「プログラミング教育」の実施に向けて不安なことや課題と感じていること(一部抜粋)

  • 個々の生徒の前提知識やプログラミングの経験の差が大きそう
  • 出身中学校での差が大きくなりそう
  • 各社の教科書をまだ見ることができない
  • 自身のプログラミングスキル不足や指導力
  • 教材研究の時間確保
  • 大学入試の対応
  • プログラミング言語の選定
  • 生徒たちのモチベーションをどう高めていくか

「情報Ⅰ」や「プログラミング教育」の準備を進めるために欲しい情報や支援(一部抜粋)

  • プログラミングの授業の実践例や指導案、プリントなど
  • SSH校とかではなくごく普通の学校の事例が知りたい
  • 他校でのプログラミングの評価方法
  • 入門者向けのプログラミング研修会(いつでもうけられるもの)
  • 中学校段階の情報が欲しい

 

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