麻生情報ビジネス専門学校・チーム『5K』インタビュー記事
アシアル情報教育研究所・所長の岡本です。
先日、「第4回 専門学校 HTML5作品アワード」の結果発表を行いました。
本記事はそのアフターレポートの一環です。
第4回専門学校HTML5作品アワードでグランプリを受賞した麻生情報ビジネス専門学校のチーム『5K』にインタビューを行いましたので、その模様をお伝えいたします。
なお、チームの制作物は2021年3月末頃まではWebサイト上で閲覧・利用できるそうなので、ぜひ、アクセスしてみてください。
なお本作品は、審査員である株式会社IMAKEの濱野社長が非常に惚れ込んでいるため、今後、新展開があるかもしれません。
インタビューの背景
- コンテスト参加校・各校より『他の学校の様子が知りたい』という声があった
- 当コンテストのグランプリ受賞作品、審査員の濱野社長が惚れ込んだ
- 来年度のコンテストに挑戦する学生にとって、使えそうなサービスだと判断
取材対象
- 麻生情報ビジネス専門学校の情報工学科(4年制)・情報システム専攻科アドバンスコース(3年制) 混成クラスからの、4年制学生4名、3年制学生1名によるチーム。このクラスからは応募5チーム全てが今回入賞を果たしている。
- 作品名は「Ideash(アイディッシュ)」
- オンライン上でアイデアを発想することができるWebアプリ。
- ブレインストーミングやマンダラート等が行えます。
- 第4回専門学校HTML5作品アワードでグランプリを受賞
- 企業賞としてIMAKE賞も受賞している
補足:企業賞と指名制度について
- 企業賞は協賛企業・特別協賛企業などから送られる賞
- グランプリ賞や実用賞などの通常賞審査と異なり、各企業が入選作品に対して賞を出す方式です
- 学生側もPRしたい企業を「指名制度」で指名できます
- チーム『5K』はIMAKE社に指名を入れていました、理由は「作品の色とIMAKE社のコーポレートカラーが近かったから」だそうです。
- 指名制度は学生に企業を知ってもらうための仕掛けとして導入しています。
メンバー
聞き手
- 岡本:赤色を使うことが多い アシアル情報教育研究所 所長 岡本雄樹
- 濱野:Ideashに非常に惚れ込んだ 株式会社IMAKE 代表 濱野 将
話し手
- 仲:発起人、フロント・バック両方担当。
- 小嶋:仲さんに誘われた。メインはフロントエンド担当。情報収集・ドキュメント面と執筆なども行った。
- 是末(これすえ):仲さんに誘われた。1年前の開発での失敗(酷い作品ができた)を糧に、今回のプロジェクトでリベンジを果たしたかった(果たした)。全体的なバグ修正・テスト・自動テストで貢献。
- 中山:仲さんから声かけられて、リーダーに任命された。チームでのディスカッションを行ったり、最終的な決断を下した。設計・実装のサポート役として動いた。敢えて役割に名前を付けるのであれば『テクニカルディレクター』
- 酒井:開発始まるギリギリまで、何処のチームからも呼ばれていなかったが、中山さんからオファーが掛かりチームに参戦。デザイン・フロント・プレゼンなどの経験を過去のプロジェクトで経験しており、今回もその方面で活躍。また、広報なども担当。チーム内では唯一の3年制メンバー。
このサービスで、起業できるんじゃないか?
岡本:結論から述べます。この作品を株式会社IMAKEの濱野社長が惚れ込んでいて、同様のサービスを自社で展開したいそうです。
濱野:皆さんは就職決まっているんですか?
一同:決まってます!
岡本:ですよね。この時期(3月)ですから、決まっていますよね。
濱野:このサービスを元にみんなで起業するつもりはありますか?
中山(リーダー):僕は開発していて、「あれ、もしかしていけるんじゃないかな?」と思っていました。
他4名:私たちはそこまで思っていませんでしたが、学内で他の人達に使って貰った感触は凄く良かったですよ。
中山(リーダー):起業はしませんが、グランプリ賞も頂いてしまったので、暫くサービスはアクセスしておく予定でした。今はクラウドのサーバーを使っているので費用が掛かってしまっているので、『Raspberry Pi』で自宅サーバーを立てて運用しようかなとも思っていたところです。
濱野:虫の良い話だけど、もし、うちの会社で同様のサービスを展開することになったら、アドバイスだけでも頂けると嬉しいですね。美味しい焼き肉を奢りますので。
岡本:やすっ!
濱野:副業的に手伝って貰えると一番嬉しいのですが、社会人1年目は本業に専念して欲しいですね。
岡本:私も実行委員長として、このタイミングで起業されてしまうと、貴校に合わせる顔がない。
濱野:Githubにソースコードも公開されているし、それを参考にさせていただきます!
中山:Githubは3月末以降も公開しておく予定です。学校の後輩達に参考にしてもいたいので。
岡本:学校の後輩以外にも参考にする予定の人がここに居ますね、、、
グランプリ作品は意外とホワイトなプロジェクト
岡本:グランプリ賞をとる秘訣をきかせてください。
濱野:いつ誰がこの作品のアイディアを???
中山:9月頃スタートで、開発期間は4~5ヶ月。授業の時間内できっちり集中して作り上げました。
岡本:授業時間はどれくらいですか。
中山:週に12コマ(1コマ90分)なので、週に18時間、4ヶ月で約300時間ぐらいですね。
岡本:5人だから人月換算で約10人月ですね。
濱野:授業の時間内だけで作品をキッチリ仕上げるなんてすごいですね!
仲(発起人):以前のプロジェクトで大失敗をしたので、その時のメンバーを含めて再結成したんです。
是末:その時は本当に凄い酷い作品ができたので、もう一度やり直そうという話になりました。今回のプロジェクトで僕は主に全体的なバグの修正や自動テストなどを行っていました。
中山(リーダー):僕は開発をやりたかったのですが、仲君にリーダーに任命されたので、チームの方針を決めたり、最終的な決断を行いました。また、直接自分が開発するのでは無く他のメンバーのサポートに回りました。
濱野:なるほど『テクニカルディレクター』的な役割ですね。
岡本:なるほど、一回失敗しているから二回目のプロジェクトはスムーズに進んだのですね。中山さんがリーダーとしてサポートに回ったり、是末さんが品質管理をバシッと行ったので、プロジェクトがスムーズに進行して順調にリリースが行えたのだと思いますよ。
岡本:あと、やっぱり最初に一度失敗している経験は大事なんじゃ無いかな。
酒井:実は「中山さん」と「仲さん」がクラス内でも有数の実力者なので、それも大きかったと思います。
是末:送ったプルリクに対する対応が非常にしっかりしていて、とても勉強になるんですよ。ツールや技術の使い方も上手なので参考になりました。
岡本:ホワイトなプロジェクト現場で羨ましい。
Ideash(アイディッシュ)発案の経緯
濱野:このアプリは誰をターゲットにしたアプリですか?
中山:自分たちみたいに卒業制作や課題制作でアイディア出しをしたい学生などをターゲットにしました。
濱野:UIが分かりやすくてシンプルだと感じていました。この手のツールはゴチャゴチャしていると、初見で使いたくなくなるので。デザインは酒井さんが頑張られたのですね。
酒井:ありがとうございます。
中山:評価頂き、ありがとうございます。リモートワークなども増えているので、起業したらワンチャン、イケるんじゃないかとは今でも思っています。
酒井:私も完成した時に「良いサービスができた」と思いました。ただ、Twitterなどでも拡散させようとしたのですが、思ったほどユーザーは増えませんでした。
学生発だと、中々使って貰えないのですか?
岡本:学内では使って貰えたのですよね?
酒井:はい、使って貰えました。また、継続的に使いたいという声もアンケートで取れています。身内というのはありますが、それを差し引いても、良い反応を得ています。
岡本:他のメンバーの意見も伺いたい。
仲:実際に使えるツールに仕上がっているので、よくできていると思っています。
小嶋:開発中はつくるのに集中して気がつきませんでしたが、完成した時に「凄いツールができてしまった」と思いました。
岡本:これは『第5回 HTML5専門学校作品アワード』でアイディア出しのツールとして紹介したら、ユーザー増えるかもしれませんね。
開発ツールの話
岡本:ツール関係の話を教えてください。『Github』は分かりましたが、プロジェクト管理ツールとかはどうでしょう。
中山:最初は『Redmine』使っていたのですが、途中で運用サーバーが重くなってきたので、中盤以降はGithubに連携できる『ZenHub』を使っていました。
岡本:ZenHub、なるほど、岡本は初めて聞くツールなので勉強になります。他に、チームでの情報交換に『Slack』みたいなチャットツールは使いましたか?
中山:情報交換用のツールは、実はSlackではなく『Discord』を使いました。
岡本:Discord、なるほど、他の学校のチームではSlackを使うケースはきくのですが、Discord、それは興味深い。リモートで通話のコミュニケーションも行っていたということですか、貴校は福岡県ですし。
中山:はい、コロナ禍の影響で週3でリモートの時もありました。
岡本:エディタは何を使いましたか?『VS Code』?
中山:いえ、Rubyでの開発なので『RubyMine』を使いました。
岡本:フロント周りは普通のJavaScript?
中山:はい、普通のJavaScript、それとjQueryです。VueやReactなどは使っていません。UIにはCSSフレームワークとして『Fomantic UI』を使っています。
岡本:新興の技術を投入してプロジェクトを炎上させるとかは?
中山:いや、『Ruby on Rails』の経験者がいなかったので、そちらの習得に注力した感じです。
岡本:ログイン機能ありましたけど、その辺はRailsの機能で対応?
中山:そうです。
岡本:そうだ、ここで次回以降のコンテストに挑戦する学生の皆様にお願いです。ログイン機能を実装する場合は、デモアカウントを頂けると助かります。サンプルデータ投入済みのデモアカウントがあると、なお、親切です。
中山:その点は、エントリーするときに用意した方が良いのかなと、自分も思いました。
岡本:当コンテストの審査は基本、動画審査なので必須ではないですけどね。ログイン機能自体はフレームワークやmBaaS(『ニフクラ mobile backend』など)の標準機能で実装できてしまうので、評価にあまり影響はしないと思いますし。
濱野:デザイン関係のツールも教えてください。
酒井:Figma使っています。学校の他のチームは大体、Adobeのツールでつくっていました。私は学校で3年間、Figmaを使っていて気に入っているので、Figmaで対応しました。
濱野:ココまでクオリティレベルが高いUIを作っていたのには感心しました。
ユーザー数の話
岡本:宣伝はTwitterを使ったのですよね。
酒井:うちのチームは余り伸びませんでしたが、他のチームの『acsys』さんはフォロワー200名越えています。うちはまだ二桁です。
濱野:なるほど。登録ユーザー数はどれくらいなんですか?
中山:30人程度です。
濱野:卒業制作をする学生にとっては大変便利なツールなので、もっと使われていると思っていました。
岡本:自社サービスを運営すると分かりますが、ユーザーを増やすのは大変なんですよ。サービスを知って貰うために、コンテストを企画したり、協賛企業に集まってもらったり、インタビュー記事を書いたり、、、
濱野:受賞したみんながこんなに喜んでいるのだから、引き続きアワード運営頑張ってくださいw
岡本:わかった、頑張る。
濱野:本日はインタビューにご協力いただきありがとうございました。八王子に来る機会がありましたら、焼肉を奢らせてください!