文部科学省から高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材が公開されました

アシアル情報教育研究所 所長の岡本です。

先日、文部科学省から高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材が公開されました。

高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)

非常に高度な内容であると、「Twitter」や「はてぶ」などでも既に話題となっていますね。

「情報Ⅱ」が始まるのは2023年度から

 この教材は2022年度からはじまる高校の新学習指導要領で科目として追加される「情報Ⅱ」を教える教員の方が研修で学ぶときに使うための教材です。「情報Ⅱ」は「情報Ⅰ」の続きとして選択履修するものなので、実際には2023年度からスタートです、つまり実際に高校生が高校の授業で学ぶのは約3年先の話です。

 なお、新学習指導要領では教科「情報」の中で「情報Ⅰ」が必履修科目として現行科目が変更され、また新科目として「情報Ⅱ」が選択科目として追加されます。「情報Ⅱ」は選択なので全ての高校で行うわけではありません。

生徒にこの内容を全部教え切るのは難しいかもしれないが

 そして、教員研修資料はあくまで「情報Ⅱ」を教える教員用ですので、ここに書かれてあることが全部、授業中に扱われるわけではありません。「情報Ⅱ」の単位数は2単位で、高校の2単位というのは70時間程度のため、この内容を全部まんべんなく教えるのは難しいと思います。

教材の9ページ目にもでも以下のように書かれています。

なお各展開の学習活動の所要時間については記載していない。これは教員によって展開の仕方や重点の置き方が異なることを考慮したものである。

 やはり、この教材はあくまで教員向けです。約3年後の「情報Ⅱ」に備えて、この教材に書かれている内容を理解してほしい、という意味で考えるのが妥当でしょう。

 そして、情報科教員の先生方をサポートする立場である、私も、この教材に書かれている内容を理解する必要があります。

全国の情報科教員の先生方、一緒に勉強しましょう!

高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材の概要

教材を少し確認してみました、262ページの大作でした。章立ては以下の通りです。

  • 序章 「情報Ⅱ」とは何か?
  • 第1章 情報社会の進展と情報技術
  • 第2章 コミュニケーションとコンテンツ
  • 第3章 情報とデータサイエンス 前半
  • 第3章 情報とデータサイエンス 後半
  • 第4章 情報システムとプログラミング
  • 第5章 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究

序章「情報Ⅱ」とは何か?

この教材の位置づけや各章の概要と研修の進め方が書いてあります。

第1章 情報社会の進展と情報技術

前半では情報技術の発展の歴史として1971年に登場した世界初のマイクロプロセッサ(Intel 4004?)から始まって、パソコンにおけるフロッピーとHDDとSSDの変遷や携帯・スマートフォンの登場、通信技術の進化とIoTやクラウドコンピューティングなどが解説されています。中盤以降はコミュニケーションやデザイン、IoTやAIや情報システムなどに話が発展していきます。

第2章 コミュニケーションとコンテンツ

プロトタイピングの重要性が取り上げられていたり、スマートフォンアプリのデザインに関する話が盛り込まれています。メディアを統合したコンテンツの例や情報発信の方法として「Web」も取り上げられています。ユーザーインタフェースやWebアクセシビリティだけでなく、SEOやアクセス解析といった単語も出てきます。

第3章 情報とデータサイエンス

前後半に分かれていて、もっともページが割かれています。74ページ分あります。言語は情報Ⅰの研修資料でも少し出てきた「R言語」が多用されています。

前半は重回帰分析や主成分分析などの統計手法が、後半ではMINISTデータによる画像認識やニューラルネットワークに関する内容などがモリモリ書かれています。

第4章 情報システムとプログラミング

62ページが割かれており、こちらもかなりの分量です。テスト駆動開発(TDD)やリファクタリングの言及があったり、単体テストのコードまで掲載されています。また、図書館の本貸し出しシステムを題材としたシステム開発の話が掲載されています。

第5章 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究

ページ数は少な目ですが、一番大事なのはこの章だと思います。情報Ⅱを学ぶ理由は、この章に書いてあることを実践するためです。目的は5章、1~4章は手段です。

一緒に勉強しましょう!

アシアル情報教育研究所では教育機関向けに「情報Ⅰ」の教員向け研修を行っています。無料のオンライン開催もしておりますので、ぜひ一緒に情報技術を学びましょう。

「情報Ⅰ」対応の教員研修プログラム