スマホアプリ制作プロジェクト演習の鍵! 技術指導役とプロデューサー役のダブル指導方式

この記事はプログラミング教育で重要なのは集中できる環境! 夏休みを使った集中講義や2科目合同講義の活用の続きです。

【遠山】
ここでいうプロデューサー役というのは教育業界でいうところのファシリテーターに近い役割です。ただ、成果物作成に対する直接的なアドバイスと、作業の進め方やグループワークのアドバイスの双方を行うという点で、やはり名称はプロデューサーがしっくりきますね。

【岡本】
プロデューサー役がいるのは良さそうですね、1人で指導しているとソースコードの方の指導が中心になってしまい、作品全体の価値などの指導まで手が回らないです。

【遠山】
はい、プロデューサー役がいれば作品の目的や利用シーンなど、ソースコードの話より上のレイヤーに対する指導が行えるようになります。

【岡本】
なるほど、だから『ITとデザイン』の講義と合同で行うのですね。グループ分けなどは、どうされていますか?

【遠山】
まず、学生たちにテーマを提出させます。集まったテーマを教員側で統廃合して整理した上で公表し、改めて学生に選ばせています。学生たちも自ら選んだテーマなのでやる気になりますし、事前に方向性を整えることでテーマの質を担保できます。

【岡本】
上手くいかないテーマなどはあるのですか?

【遠山】
『暇な学生のための暇つぶしアプリ』のようなテーマが上がって来ることが多いのですが、哲学がないテーマは完成に至るまでのモチベーションが維持できないことが多いので、却下しています。また、原則としてゲーム以外で考えるように指導しています。

【岡本】
ご当地検定ゲームみたいなアプリを作っている高校もあるのですが、ゲームは難しいのですか?

【遠山】
地域のコンテストなどに挑戦させたいと考えているので、ご当地系ゲームは面白いですね。

ゲーム関係が絶対に駄目なわけではなくて、自分たちが必要だと思って主体的に作れるような哲学とビジョンを作れそうであれば構いませんが、ゲームの方がそれが難しいようです。以前ゲームの攻略アプリを作った学生がいたのですが、ストアでのリリースまで漕ぎ着けた実績があります。

【岡本】
ソースコードの行数が凄いことになったアプリですね。コピペで万単位の行数になったものを後で繰り返し処理に置き換えたら劇的に改善した、というお話しを以前聞かせて頂いたのを憶えています。

【遠山】
アイディア・ファーストで「何を作りたいか」の哲学・ビジョン・コンセプトを必ず技術より先に考えさせるようにしています。アプリ開発をやり遂げるには自ら企画を考えて発表し、それから開発に取りかかることでモチベーションを維持できるのです。

【岡本】
なるほど、それなら上手くいきそうですね。

【遠山】
ええ、2年生の秋は全員、目標達成できました。

【岡本】
貴重なお話しありがとうございます。
最後に今回のような講義を通じて学生が学べることや期待する成果について、改めてお聞かせ頂けますでしょうか。

【遠山】
ビジネス系の大学でもビジネスプランコンテストなどは最近増えていますが、情報系やデザイン系などに比べると、実際のプロダクトを伴う成果を外に発表する機会が少ないのですが、今回のような講義があれば成果物や発表の経験が残りますので、就活などでも学生時代のエピソードとして十分語れます。

4年間大学に通って学生生活で頑張ったことが「バイト先でリーダーとして頑張りました」ですと、それが悪いとは言いきれませんが教員としても寂しい。

例えば情報系の分野であれば各種のコンテストや情報処理学会などでも学部生にも発表する機会を色々と用意しているのですが、一般論として文系の学部生だと発表の機会が限られているので、アプリを企画して発表したりコンテストに出品したりするのは、学生時代の実績作りとして良いと考えています。

Monacaなら文系学生でも講義の範囲で本格的なアプリ開発に挑戦できることは証明しましたので、MonacaEducationの今後に期待してます。

【岡本】
ありがとうございます、頑張ります。