「情報Ⅰ」の教科書とプログラミング言語に関するアンケート結果
アシアル情報教育研究所の塚田です。
先日、弊社主催で開催いたしました高等学校「情報科」セミナー『高校の現場から見る大学入学共通テスト「情報」』には、情報科ご担当の先生を中心に650人を超える皆様にお申し込みをいただきました。
(アーカイブ動画の視聴をご希望の方はこちらからお申し込みください)
今回のセミナーでは教科書採択期間が終了したタイミングでもあったので、セミナー参加お申込みの情報科の先生を対象に採択した教科書と来年度指導予定のプログラミング言語についてアンケート調査を行いました。
調査対象が弊社主催のセミナーに参加している方のみであったり、同じ学校から複数の先生が回答しているなど、厳密な調査設計に基づいて収集したデータではございませんが、今後の「情報Ⅰ」の準備などの参考になればと思い集計結果および回答データを公開いたします。
今回のアンケートの有効な回答数は488件でした。
「情報Ⅰ」で使う教科書について
「情報Ⅰ」もしくは代替科目で採用予定の教科書を尋ねたところ、以下の様な回答が得られました。実教出版の「最新情報Ⅰ(情Ⅰ705)」がトップとなっており、次に実教出版の「高校情報Ⅰ Python(情Ⅰ703)」と東京書籍の「新編情報Ⅰ(情Ⅰ701)」が続きます。
比率や順番は多少異なりますが、東京都が公表した都立高等学校での教科書採用のデータと近い傾向はありそうなので、弊社で収集したデータも大きなバイアスはかかっていないかもしれません。
「採用予定の教科書を教えてください」という設問なので2023年度から「情報Ⅰ」を教える予定の学校の先生の回答も含まれている可能性はあります。
「情報Ⅰ」で指導予定のプログラミング言語について
「情報Ⅰ」もしくは代替科目で指導を予定しているプログラミング言語を尋ねたところ、以下の様な結果になりました。プログラミング言語については複数回答項目としてアンケートを行っています。
1位はPythonで次いでJavaScriptが選ばれています。この2言語からかなり離れてVBAとScratchが続きます。弊社のセミナーにはMonaca Educationで既にプログラミングの授業を行っている先生が多く参加しているためJavaScriptの回答が増えるバイアスがかかっている可能性はあります。
その他には、商業科や工業科のプログラミングの授業で教えられているJavaやC言語などが含まれているのだと予想されます。
また、採用を予定している教科書と指導を予定されているプログラミング言語のクロス集計しました。今回のセミナーでもご発表いただいた愛知県立小牧高等学校の井手広康先生が日本情報科教育学会の全国大会で発表されていた論文「情報Ⅰの教科書におけるプログラミング分野の比較と分析」を参考に各教科書で扱っているプログラミング言語を黄色でマークしています。
この集計結果から必ずしも採用する教科書で扱われているプログラミング言語と先生が指導を予定しているプログラミング言語が一致していないことが分かります。「情報Ⅰ」の内容についてはプログラミングだけないため、他の単元の内容も含めて総合的に教科書を選択していることが読み取れます。また、複数回答項目であったため、まだ検討中の回答者が候補の言語をすべて選択したことも考えられます。
今回のアンケートの回答データ(該当部分のみ)と集計結果はGoogleスプレッドシートでも公開してます。出典を明記いただければご自由にお使いいただけますのでご活用ください。
アシアル情報教育研究所では、今後も情報教育に関する調査研究やセミナーを実施してまいりますので、引き続きよろしくお願いします。