静岡県立島田商業高等学校 鈴木滋先生インタビュー
Monacaを使ってアプリ開発を行っている島田商業高校の取り組みは市の広報や各種メディアにも多数取り上げられています。
島商生がご当地検定アプリ「しましる」を作成
「しままる」は島田市のウェブサイトでも取り上げられました。iOS版とAndroid版のアプリがストアからもダウンロードできますので、ぜひお試し下さい。
40人のクラスでアプリを10個生み出して『Google Play』や『App Store』にも掲載を行っている島田商業高校・鈴木先生にインタビューしました。
鈴木滋先生は何者?
岡本「鈴木先生は民間でエンジニアとして働いていたのですか?」
鈴木「いえ、全くそんなことはありません。学生の時に民間でアルバイトしたことはありましたが、IT系ではないですしね。まぁ商業高校出身なので授業で少しCOBOLとかをさわったことはありますが、大学も情報系ではありませんでした。」
岡本「地域の事業者と連携して課題解決型のアプリケーションを作る授業をされているので、ビジネス経験かエンジニア経験のどちらかをお持ちかと勝手に思っていたのですが、そうではないのですね。」
鈴木「プログラミングは情報ビジネス科の授業で必要だったので、教員になってから勉強しました。」
鈴木先生はどうやってプログラミングを学んだか?
岡本「鈴木先生はいまお幾つぐらいでしたっけ?」
鈴木「40代前半です」
岡本「では、先生になられて授業のためにプログラミングを学びはじめたのはWindows2000ぐらいの時代でしょうか?」
鈴木「Windows Vistaだったきがします。」
岡本「なるほど。実際にはどんなテーマでプログラムを開発したのですか?」
鈴木「図書館の蔵書管理システムです、バーコードリーダーも接続しました。」
岡本「当時だと、開発環境は AccessとVBAあたりですか?」
鈴木「まさにそうです。」
岡本「図書館は高校生にとっても身近なサービスなので業務システムの例題としては良さそうですね。」
鈴木「はい。その後は、幼稚園向けのアプリをFlashで作ったり、色々やりました。」
岡本「商業科ではJavaも扱いますよね」
鈴木「ええ、私も7年前ぐらいからJavaをはじめました。」
岡本「MonacaはJavaScriptですが、そちらは如何ですか?」
鈴木「4年前ぐらいからはじめました。」
Monacaを知ったキッカケ
鈴木「Monacaを知ったのはオープンデータやシビックテックの流れがあったからです。」
岡本「意外です、Monacaがシビックテックの分野で使われていることは知っていますが我々自身はあまり活動ができていないので。」
鈴木「商業ビジネス科として地域の課題解決アプリを作ろうと考えたとき、アーバンデータチャレンジというコンテストやCode for のイベントに関わって誰かがMonacaを教えてくれたんです。」
岡本「なるほど、誰かがMonacaを教えてくれたのですね。」
鈴木「誰だったのかは全く憶えていません。ただ、そういった情報や生徒達の学びを支援してくれる仲間もシビックテック関係の集まりから広がっていったのは確かです。」
岡本「商業高校とシビックテックは相性が良いのでしょうね。これが工業高校とかだったら、たぶんIoTとかメイカームーブメントなんでしょうけど。」
商業高校と工業高校のコラボレーションはしないのか?
岡本「弊社で工業高校の専攻科1年生を2人受け入れた時にMonaca x IoT的な取り組み実験して貰ったのですが、商業高校と工業高校のコラボレーションってのは可能でしょうか?」
鈴木「商業科としてはハードウェアには手を出さないようにしてきたのですが、今の時代はハードウェアもソフトウェアもセットで考えてビジネスにしていくのが当たり前ですので、工業高校とコラボできたら面白いとは思います。」
岡本「工業の情報と商業の情報って学校間や先生間での交流はあるのですか?」
鈴木「私の知る限りでは、ありません。」
岡本「今日のオープンソースカンファレンスとか、何か顔を合わせるイベントというか機会があると良さそうですね。」
どうやったら他の学校でもアプリを10本リリースできますか?
岡本「先生、教育機関でのMonaca導入や成果を増やすのが私のビジネスなのですが、どうしたら他の学校でもアプリが沢山生まれるようになりますでしょうか?」
鈴木「やはりマニュアル化というかワークみたいなものが必要かと思います。」
岡本「それは避けられませんか。」
鈴木「協力しますよ。」
岡本「ありがとうございます。それと、シビックテックやオープンデータみたいな話も含めてMonacaの活用イメージを持って貰うためには、何か良い方法がありますでしょうか。」
鈴木「マンガが良いと思います。オープンデータ関係のRESASにはマンガがあります。」
※ RESASまんがブックレット「そうだったのか!RESASでわかる私たちの地域」
岡本「なるほど!早速、上司に相談してみます。」
鈴木「あと、島田商業高校では地域の企業と連携をはかり色々サポートして頂いてます。」
岡本「何社ぐらいですか?」
鈴木「開発のサポート関係で5社ぐらいです。それと、地域の課題を解決するアプリはデータや素材の提供で協力をお願いするケースもあり、色々な企業や団体に相談を持ちかけています。」
岡本「データや素材強力の場合は生徒が連絡をとるのですか?」
鈴木「はい、もちろんメールで連絡しますよ。」
岡本「高校生がメールで企業と連絡を取り合って課題を進めるのは良い学習になりそうですね。」
鈴木「やってみると、メールに対する返信がFAXや電話で学校宛にくることも多くて興味深いですよ。」
岡本「なるほど。」
最後に
岡本「商業高校では企業と連携して課題制作を進めるのは一般的なのですか?」
鈴木「企業との連携自体は一般的です。ただ、情報分野での事例は殆ど聞きません。」
岡本「そこは島田商業高校が先駆者なのかもしれませんね。今度はサポート企業の方にもインタビューしたい。」
鈴木「生徒が夏休みに毎年インターンに行ってますよ。実際に就職するケースもありますし。」
岡本「就職は多いんですか?」
鈴木「半分ぐらいは就職しますね。」
岡本「素晴らしい、地域の企業と連携して教育することの大きなメリットですね。」
参考資料
平成29年度 情報ビジネス科 作品一覧
「Civic Tech × オープンデータ ( + RESAS)」をテーマにし開発された作品が動画付きで紹介されています。
※掲載作品一覧
* 健康ツーリズム
* 深海ぎょぎょぎょ
* 茨城から宇宙へ!
* コインロッカーサガシ
* Smile
* 静岡防災~避難前・避難後の手助けアプリ~
* handy hazardmap
* お助けマン
* HAMAP
* しましる
事例67静岡県立島田商業高校/オープンデータを活用した地域貢献アプリ – キミのミライ発見
『キミのミライ発見』に掲載されている島田商業高等学校の取り組み事例です。
第10回全国高等学校情報教育研究会全国大会(東京大会)発表資料
高校生が見せた「オープンデータによるアプリ開発力」は日本の希望だ
ビジネス+ITの取材記事です。